日常英会話でも多く使われる“can”と“could”。

私は中学校で“can”の過去形が“could”ですよ、という風に習った記憶があります。

ですが、実際の会話で使われる“can”や“could”には中学校では教えてもらえなかった意味やニュアンスが含まれています。

can

“can”は物事ができる能力があるかどうか、可能であるかどうかを確認するニュアンスがあります。

~をする能力がある

まずは、助動詞“can”の意味を見てみましょう。

肯定文だと「~できる」というニュアンスになります。

「~をする能力があるのように現在の能力を表す単語です。

I can speak English.
「私は英語を話すことができます。」
You can run fast.
「あなたは速く走ることができます。」

(英語が得意、帰国子女などで)英語を話すことができる能力を持っている、足が速い人で速く走れる能力があるというニュアンスです。

~できない

否定分だと「~できない」という意味になります。

“can’t”は“cannot”の短縮形です。

I cannot speak English.
「私は英語を話すことができません。」
You can’t run fast.
「あなたは速く走ることができません。」

~してはいけない

また「~してはいけない」という意味で使われることもあります。

You can’t run around in the hospital.
「あなたは病院内で走り回ってはいけません。」
You cannot tell a lie.
「嘘をついてはいけません。」

許可を求める


“can”を使って許可を表すこともよくあります。

You can order whatever you want to eat for your lunch.
「お昼に食べたい好きなものを何でも注文していいですよ。」
You can call me Hiro.
「ヒロと呼んでください。(ヒロを言うことを許可します。)」

疑問文では「~してもいいですか」という意味になり、許可を求める時に使われます。

Can I ask you a question?
「1つ質問をしてもいいですか。」
Can you pass me the salt?
「塩を取ってくれませんか。」

許可を求める言いまわしは“can”の他に“May”もありますが“May”の方がより丁寧です。

“can”で求める許可はカジュアルな感じなので、家族や友人に使う方がいいと思います。

それができる能力があるかどうか確認する

許可を取るニュアンスと似ていますが、場合によってはある物事ができる(実現できる)能力があるかどうかを尋ねるニュアンスになることもあります。

Can something be done?
「何とかなりませんか?」
Can we make it?
「間に合いますか?」

ただし、「相手にその能力があるか?」を質問している状態なので、失礼にあたることがあります。

「出来ないの?」「ホントにできんの?」のような聞き方にならないよう細心の注意を払って口に出すようにしましょう。

could

そして、“can”の過去形“could”。

肯定文では「過去には~できた」という過去の能力を表す場合と、「~かもしれない」という未来の可能性を表す場合があります。

過去にはできた(能力があった)

「過去には~できた」といった過去の能力を表すときは、文章の中で時間を明確にする表現を入れることが必要です。

I could speak English when I lived in the United States eight years ago.
「8年前にアメリカに住んでいた時は、英語を話すことができました。」
You could run fast when you were young.
「若かった時、あなたは速く走ることができました。」

when I lived~ 住んでいた頃、when you were young 若いころは、のように過去を表す言葉と一緒に使っている場合は、
「過去にはできた(能力があった)」というニュアンスだと断定してもいいでしょう。

~かもしれない「未来の可能性を表す」

「~かもしれない」未来の可能性を表すときは、明らかに未来の話だとわかるとき、または文中で“but”や“if”が出てくることが多いです。

It could rain tomorrow.
「明日雨が降るかもしれない。」
I could speak in English with you, but Japanese is easier.
「あなたと英語で話せるかもしれないけれど、日本語の方が簡単です。」
You could run fast if it was not so cold.
「とても寒くなければ、あなたは速く走れるかもしれない。」

“could”は、実現する可能性が低いとき、現実味のない話をするときによく使われます。

We could see each other next month.
「来月に会うこともできます。《が、たぶん無理でしょう》」
I could eat ten pounds of meat right now!
「今すぐに10パウンドの肉を食べることができそうです!」

~できなかった

否定文では「~できなかった」という意味になります。

“couldn’t”は“could not”の短縮形です。

I could not speak English.
「私は英語を話すことができませんでした。」
You couldn’t run fast enough to win the race.
「あなたはレースに勝つには十分に速く走ることができませんでした。」

丁寧に許可を求める

疑問文で“could”を使うと丁寧に許可を求めることができます。

“can”はカジュアル“could”は丁寧なニュアンスなので“could”はフォーマルな場面で使われます。

Could I ask you a question?
「1つ質問をしてもよろしいでしょうか。」
Could you pass me the salt?
「塩を取ってくださいませんか。」

「できた」と英語で言う場合は“be able to”

このように“can”と“could”についてお話してきましたが、実際の日常会話の中で困るのは「~できた」と言いたい時ではないでしょうか。

会話例文をみてみましょう。

How was the exam?
「試験はどうでしたか。」

クラスメイトにこの質問をされて「合格できました。」と答えたい時、ついつい“I could pass the exam.”と言ってしまいそうになります。

しかし、上でもお話したように“could”は過去の能力や未来の可能性を表すので、“I could pass the exam.”という返答を聞いたそのクラスメイトは(あれ?最近あった試験の話をしているのに、昔は合格できたって言いたいのかな?それとも、合格できるかもしれないって言いたいのかな?)と、頭の中が?で一杯になってしまうと思います。

I could pass the exam when I was in a high school.
「高校生だった頃はその試験に合格することができました。」
I could pass the exam if I studied hard.
「一生懸命に勉強すれば、その試験に合格できるかもしれません。」

では、どうのうようにして「合格できました。」と答えるべきでしょうか。

この質問への最も簡単な答えは、“I passed the exam.”「合格しました。」ですが、「できた」と言いたい時には、過去形の“be able to”「~できる」を使ったり、“manage to”「なんとか~する」を使って表すことができ、“could”は使われません。

I was able to pass the exam.
「合格できました。」
I managed to pass the exam.
「なんとか(頑張って)合格できました。」

「~できる」「~できた」という日本語に単純には置き換えられない“can”と“could”ですが、その違いと使い分けを理解すれば英語表現の幅がぐっと広がるかもしれません。