今回は、「can」と「be able to」の違いと使い方について学びます。
「~できる」といわれると、“can”がパッと思い浮かびますよね。
“can”は英会話になくてはならない超重要な助動詞なので、会話中はほとんど100パーセントと言っていいほど、“can”を使っているはずです。
その“can”ですが、“be able to”にも同じ意味があるということを知っている方も多いと思います。
中学校では両者を入れ替えるようなテストもあったはずです(今現在は分かりませんが)。
ですが、「can」と「be able to」は、どんな場面でも入れ替えられるわけではなく“can”でも“be able to”でもどちらでもOKな場合と、どちらかしか使えないというパターンもあるということをご存知でしょうか?
今まで「~できる」=“can”で、当たり前に“can”を使っていたことが、文法的には間違っていたということもあり得るかもしれません。
今回しっかりと違いを理解し、区別して使えるようになりましょう。
“can”でも“be able to”でも、どちらでも使えるパターン
まず、“can”でも“be able to”でも、どちらでも使えるパターンを見てみます。
「人が~できる」という能力を表すときは、どちらでもOKです。
He is able to play the piano.
「彼はピアノを弾くことができます。」
どちらも正しく、意味も同じです。
使い分けとしては、会話では圧倒的に“can”を使います。
どちらでもいいのであれば、短くシンプルな方を選びたいですね。
“be able to”はフォーマルな場面で使うといいですが、“can”を使ったからと言ってものすごく失礼に値するというほどではありません。
疑問文にする場合も同じです。
Is he able to play the piano?
「彼はピアノを弾くことができますか?」
となります。
“be able to”しか使えないパターン
次に、“be able to”しか使えないパターンを見ていきます。
実は“can”には、前にくるものによっては、文法的に使えない場面がいくつかあります。
直前に“不定詞to”がある場合は“can”は使えない
まず前に“不定詞to”がある場合、その後ろに“to can”と続けることはできません。
“不定詞to”の後ろは動詞の原型を持ってくるという文法的決まりがあるので“can”は置けないんですね。
その場合、代わりに“be able to”を使うというわけです。
「私は料理が上手にできるようになりたいです。」
ここで、“I want to can cook well.”とすることはできません。
「この本はこの町に住んでいることが証明できないと借りることはできません。」
助動詞が前にある場合も“can”は使えない
また、助動詞が前にある場合も“can”は置けないため、“be able to”を使います。
「一生懸命練習したら、セリフを覚えられるようになるよ。」
完了形も“can”は使えない
そして、完了形が前にある場合も、後ろにくるものは過去分詞形と決まっているので、“can”ではなく、“be able to”を使います。
「風邪をひいているせいで、宿題をすることができていません。」
一般的に“can”を使うことが多い場面
次に、“can”が使われることが多い場合を見てみましょう。
これは、“can”でなくてはダメというものではありませんが、一般的に“can”を使うことが普通ですという感じです。
主語がモノの場合
まず、主語が人ではなくモノである場合、“can”を使います。
「この車には8人乗ることができます。」
受動態の場合
また、受け身の形をとるときも“can”が好まれます。
「このチケットは1000円以上オーダーした人が使うことができます。」
過去の「~できた」は少し複雑
最後に、過去形のときの”can”と”be able to”のついて見ていきましょう。
上で学んだことをそのまま過去形にも適応できれば問題はないのですが、そうでないパターンがあるので注意が必要です。
“could”は使える場面が決まっている
例えば下記の現在形を過去の出来事として言いたい場合、「can」と「be able to」どちらでもいいかというとそうではありません。
“was/were able to”は過去の「~できた」という場面でどんなときでも使うことができますが、“can”の過去形“could”は使える場面が決まっています。
“could”が使えるのは「知覚動詞」とともに使うとき
“could”が「~できた」という場面で使えるのは、知覚動詞(see/hear/feelなど)とともに使うときになります。
「昨夜ここから花火を見ることができたんだ!」
I could(was able to) smell something burnt last night, but it was nothing.
「昨夜何か焼けたにおいがしたけど、何もなかったよ。」
どちらの場合も”could”の代わりに、”was/were able to”を使うこともできます。
過去の成功を表すときは状況によって「can」と「be able to」を使い分ける
過去の成功を表すときを考えてみましょう。
その成功が一度きりのものであったか、もしくは継続したものであったかによって、“could”なのか、“was/were able to”なのかが異なります。
継続的な能力を表現する場面はどちらも使える
まず、どちらもOKなのが、「~する能力があった」という継続的な能力を表現する場面です。
「フランスに住んでいたときは、少しフランス語が話せた。」
You could (were able to) ski when you were 6 years old.
「あなたは6歳のころスキーができていたんだよ。」
「過去に一回できた」は“could”は使えない
次に、過去の一回だけ成功したという場合の「できた」は、“could”ではなく“was/were able to”しか使えません。
「あそこのバーで無料ビールが飲めたよ。」
I was finally able to find the phone which I was looking for.
「ようやく探していた携帯を見つけることができた。」
以上のように、過去の「~できた」は少し複雑です。
どのパターンでも使えるのは意外にも“was/were able to”なので、慣れるまではそちらを使うようにしておくといいかもしれません。
また、過去の否定形は、上で見たような限定された使い方はないので、「couldn’t」、「wasn’t/weren’t able to」、どちらを使っても大丈夫です。
会話であれば、“couldn’t”がおすすめです。
意味は同じでも、文法的に使えないといったことが今回の「can」と「be able to」の使い分けのポイントでした。
今回の違いをしっかりおさえておくことで文法を再復習するいいチャンスです。
文法の気にしすぎはスムーズな会話を妨げてしまうことにもなりえますが、ある程度は正しい文法でかっこよく会話したいですね。