日本人には英語の周波数が聞き取リにくいと言うのは本当?

販売サイトでこんなことを書いている英語教材があるのをご存知でしょうか?

最初に断っておきますが私の意見ではないですよ!!

・日本人が英語を聞き取れないのは英語の周波数帯が日本語よりかなり高い音域だからだ
・子どもの頃は聞き取れていた高い音域は大人になると雑音として処理される

だから対策を練りましょうと言うことなのだと思いますが、英語リスニングと英語の周波数について調べてみると、こんな記事が目につきます。

騙されるな!リスニングの英語の周波数は嘘っぱちだ

私は英語学習の素材があまりにも溢れかえっているためにそれっぽい話を信じてしまうことはとても多いと思っています。
しかし、英語の周波数についてはっきり言えば、全く持って役に立ちません。

日本語の周波数は英語より低い = 日本人の耳に高周波は聞こえにくい

何度見てもこじつけに思えます。どうもあやしい臭いがする。

周波数と英語の聞き取りに因果関係があるとは思えません。

インターネット上の口コミを引用

これはどちらも教材名は出していませんが、おそらく英語の周波数帯と日本語の周波数帯の違いのことを全面に出している教材に対しての反論記事だと思います。

周波数のことを書いている教材の公式ページを一部抜粋してみましたので読んでみてください。

英語と日本語では周波数の違いがあり、 日本語の周波数が最大1500Hzくらいなのに対し、英語はその倍以上。

そのため、慣れていない高周波の音は「雑音」として処理され、 日本人にはうまく聞き取れないのです。

引用:スピードラーニング公式サイト(販売終了)

日本語の最高周波数が1500ヘルツであるのに対し、英語の最低周波数は、最低でも2000ヘルツなので、周波数に関しては、日本語と英語では交わるところがありません。

ヨーロッパ人など他の民族に比べて日本人が英語に弱い理由は日本語の周波数にあったのです。

普段、日本語の周波数に慣れている日本人は、周波数の異なる英語を聞いても、英語本来の音を
聞き取ることができず、日本語に近い音に置き換えて理解してしまうのです。

引用:リスニングパワー公式サイト

日本語は母音が多い低周波音域中心。

英語は子音が多い高周波音域中心。

当然ですが、私たち日本人は、幼少の頃から高周波音域を聞き取るトレーニングをしていません。

日本の学校での英語学習の中でも、このようなトレーニングは行われていないので、日本人は英語を聞き取るのが上手ではありません。

引用:エブリデイイングリッシュ公式サイト(販売終了)

他にも英語と日本語の周波数について主張している教材はあるのですが、英語の周波数帯について言及している有名どころ3個を公式サイトから引用させていただきましたが、長い間英語教材業界をけん引し続けたスピードラーニングとエブリデイイングリッシュは既に販売を終了しています。

エブリデイ出版(エブリデイイングリッシュ)はアパレル系に転身したと風のうわさで聞きましたが、エスプリライン(スピードーニング)は会社自体をやめてしまったっぽい感じですね。

エスプリライン社は業界のトップラインだっただけに非常に残念です。

周波数との因果関係は教材販売会社の陰謀?

「英語の周波数についてはっきり言えば、全く持って役に立ちません。」と言っている人は何の意見も根拠も書いていないので問題外ですが、面白いのは2つ目に紹介した方で、記事を読んで見るとまあまあ説得力のある記事になっています。

12000Hlzのモスキート音まで用意して、ほとんどの人ははっきりと聞こえたでしょ、日本人が2,000~12,000 Hlzの周波数は聞き取りにくいというのは事実じゃないのでは?
としっかり仮説を立てて書いているんですね。

でその音を実際に聞いてみるとハッキリと聞こえました。

音とか言語ではなく、「聴覚」ということに関しては人間の可聴領域は15Hz~20,000Hzと言われているわけですから、12000Hlzなら聞こえて当然なわけです。

ですが、いくら高周波だと言ってもモスキート音と言語を同じ土俵に上げて、「ほら聞き取れたでしょ?」というのも強引な話です。

もう1つ公平な記事ではないなあと思うのは、その方の記事が全体的にご自分が販売している英語教材以外の悪口が多く、他社や他サイトに対して攻撃的、否定的な記事が多い印象があります。

どの企業さんも自分の教材を他社よりよく見せるために誇大表現をしてまでキャッチコピー合戦をしているわけですから、自分の教材をより良く書くのは当たり前だと思うのですが、他社の製品を批判して自分の教材をよく見せようと思っている人の記事だとすると公平だとは思えません。

日本語と英語の周波数は本当に交わってすらいないのか?

ここで一度、英語の音域が聞きとりにくいのかどうかは一瞬棚に上げさせていただき、[ヘルツ(Hz)]という周波数の単位を使って数値でだけ比較してみましょう。

まずはこの図を見てみてください。

フランス語と日本語音域せまっ。。。

これは各言語の音域を見せたかっただけなので、このグラフを見て「やっぱ周波数が問題なんじゃん」とは思わないで頂きたいのですが、ロシア人は多言語を操るのがうまいと言われているので、この周波数と言語の習得に全く関連性がないとも言い切れない気がします。

また、サミットなどで通訳のイヤホンを使っているのは、日本人とフランス人ぐらいだと聞いたことがあるのですが、もしかしたらそれもこの周波数の帯域が狭いことが関係している可能性は捨てきれません。

ちなみに、この周波数の音域のことをパスバンドと呼んだりします。

このパスバンドは子音が多い言語ほど周波数が高くなる傾向があり、母音が多いほど周波数が低くなる傾向にあります。

母音中心の日本語の周波数が低くなるのは当たり前と言ったところでしょうか。

え?私達が勉強してるのってアメリカ英語ですよね?

さきほどのグラフをみた皆さんがまず最初に突っ込みを入れたいのがここですよね!!

※米英語=アメリカ英語

えっ?イギリス英語とアメリカ英語って周波数帯違うの?

そして日本語とアメリカ英語の周波数はちょっとだけ交わってるし・・・

まあ、だたこのグラフを見ると日本語は周波数が低めで英語が高めだと言うことに間違いは無いようですね。

ここで周波数問題をチョット整理

各言語と周波数の関連性に関してはなんとなくお分かりいただけたと思います。

スピードラーニングさんやエブリデイイングリッシュさん、リスニングパワーさんの言い分と、その反論意見を整理してみます。

各教材の意見

スピードラーニング

慣れていない高周波の音は「雑音」として処理され、 日本人にはうまく聞き取れないのです。

リスニングパワー

普段、日本語の周波数に慣れている日本人は、周波数の異なる英語を聞いても、英語本来の音を
聞き取ることができず、日本語に近い音に置き換えて理解してしまうのです。

エブリデイイングリッシュ

幼少の頃から高周波音域を聞き取るトレーニングをしていません。
日本の学校での英語学習の中でも、このようなトレーニングは行われていないので、日本人は英語を聞き取るのが上手ではありません

周波数とリスニングは関係ないと言っている人の意見

・12000Hlzのモスキート音は聞き取れるじゃないか!!

・子音を含む音声を周波数で計測する事不可能など不可能である。
・英語の周波数に慣れさせるというCDや、ただの会話やフレーズを流しっぱなしで慣れさせる、といった類のCDを聞かせるだけで、実際にはリスニング力はアップしない。

順番に説明していきますが、各教材メーカーの意見は、雑音として処理される、日本語に近い音に置き換えられてしまう、聞き取るのが上手ではない

それに対して反論意見は、日本人でも12000Hlzのモスキート音は聞き取れる、言語を周波数だけで表すのは無理がある、結局教材メーカーは周波数のことをあおっておいて対策といえば甲高い高周波を聞かせたり、ただの英文を聞かせるだけ。

高周波を聞き取ることと、子音を聞き取ることは別問題

ここまで比較して、データを見つけてきて見せてきたのにこんなことを言うのもなんですが、私も聞き取りにくい音を周波数で表すのはちょっと乱暴なんじゃないかなあと思います。

モスキート音に関してもそう。

蚊の羽音と英語を周波数の数値で比べて聞こえる聞こえないと言い合っても何の意味もありません。

ですので、英語の音域を聞き取るために高周波を聞くと言うレッスンに関しては効果が期待できないのではないかと考えています。

高周波を聞くのではなく、数値で表すと高周波になってしまう日本語になくて英語にある音を意識して何度も繰り返し聞いて脳に焼き付けるレッスンというのが正解だと思います。

ですので、必然的に英文や英語独特の音を聞き取るレッスンをすると言うことになるわけです。

これはアレですね、周波数の違いに目を付けた各教材会社がアカデミックな根拠を提示したくて周波数を持ちだしたために、それらの教材を攻撃したい人たちにつけこまれてしまった感じですね。

「英語には日本語に無い音がたくさんあるから日本人はその音に慣れていないので子音中心の英語は聞きとりにくい」と書いておけば良かったんじゃないかなあと。

結局対策としては、日本語にはなくて英語にある音を何度も聞いて覚えるしか無いわけですから。

各教材メーカーがあおっている「英語の周波数が聞き取れない」の正体

脳は外国語よりも母国語の音韻により強く反応することが脳の研究で分かっているので、「英語にあって日本語にない音を日本語に近い音に置き換えて解釈してしまう」というのは本当です。

脳科学の世界では、この母国語で使われない音は母国語に存在する音に置き換えて認識してしまいう現象を「マグネット効果」と呼んでいます。

日本人がLとRを聞き分けられないのは有名な話ですが、なぜ区別がつかないかというとLとRに相当する音が日本語にはないからです。

日本語は母音5つが基本の音ですが、英語は母音16音、子音24音もあり日本語の音に置き換えても問題のない音はあまり多くはありません。

特にこの15音

日本語の「あ」に相当する音を例にあげてみても、英語には4つ存在します。

音声をご用意しましたのでぜひ聞き比べてみて下さい。

※聴き比べてみると微妙な音の違いが分かると思いますが、全て「あ」に聞こえるはずです。

この中で日本語の「あ」に置き換えても差し支えないのは短母音O【発音記号a】だけです。

それ以外の音は全て違う音に聞こえなければならないのですが、日本人には全て「あ」に聞こえてしまいます。

つまり、日本語よりも英語の方が使われている音の数が多いので日本人は日本語の中にある音の中で一番近い音に置き換えてしまい聞き分けられないわけです。

逆に、日本の国技である大相撲でモンゴル出身の力士が流暢できれいな発音の日本語を話してるのは、モンゴル語の音には日本語の音がほぼ含まれているからだそうです。

各教材メーカーがあおっている「英語の周波数が聞き取れない」の正体は、この英語にあって日本語にない音のことです。

今回は母音で比較しましたが、英語にあって日本語にない音は子音の方が多く周波数が高い傾向にあるので、英語特有の周波数は聞き取りにくいとか、雑音に聞こえるといった言い方をしたのだと思います。

音が聞き取れても言語として認識していない(雑音として処理される)ということについて

英語の周波数帯について言及している教材の中で、例えその音自体が聞き取れても雑音として処理されるとか、言語として認識されずただの音にしか聞こえないといったことについてですが、これらについては私自身の経験から説明が付きます。

まず、「聴覚」ということに関しては人間の可聴領域は15Hz~20,000Hzと言われているわけですから、12000Hlzなら聞こえて当然だということはすでに説明したとおりで、モスキート音もしっかり聞こえます。

ですので、ただ単に音としてとらえると日本人でも英語の周波数帯とされる音域の音はハッキリと聞き取れています。

でも、何を言っているか分からない・・・

これにはいくつか理由があります。

その英語の音自体を知らない

日本語にあって英語にある音で今まで聞いたことのない音は、音が聞き取れてもその音自体は日本語にないわけですから脳はその音が何の音なのか認識していません。

最近の研究で、自分の口やのどで発音できない音は聞き取れないということが分かってきていますが、脳は自分でその音を出してみてはじめて言語だと認識します。

ですので、英語にあって日本語にない音を理屈でしっかりと認識し、自分の口で何度も発音して脳にしみこませる必要があります。

リスニングは様々な要素が重なって上達していくものなので、聞くだけでは上達しません。

これは私自身が実験済みで、リスニングに苦労した英語初心者時代に同じ英文を何度も何度も愚直にスピーキングすることにより改善されましたので、ほぼ確定でいいと思います。

その言葉自体をしらない

次に、英語の音を全て言語として認識しているレベルになってもリスニングがうまくいかないことがあります。

この理由はその言葉自体を知らないからです。

その英文の意味が理解できないということと混同しないでくださいね。

例えば、下記のような英語があったとします。

have it out I.

これは「とことん話し合って決着をつける」というイディオムですが、意味は理解できなくても単語単体で考えれば全て知っている言葉なのでなんとなくは聞き取れるはずです。

厳密には単語が複数になると音が連結されたり、消失されたりして音の変化が起こるので少し違う音になるのですが、それでも各英単語を知ってるだけでリスニングのしやすさは全然違うはずです。

次にこの英語はどうでしょうか?

insinuating remark.

これは「あてつけ」という意味のイディオムですが、この言葉を今まで聞いたことがなければ、音も初めてなはずですし、目で見る文字としてもはじめてなはずです。

もちろん意味は理解できないと思います。

たった2文字の英語ですが、海外ドラマなどでこのイディオムが登場したとしたらどうでしょうか?

おそらく、言語ではなくただの音としてしか認識できないと思います。

各教材メーカーこれを雑音と言ってあおっているのだと予想しています。

結論

  • ・周波数の違いをあおる教材の口先だけの巧みな言いまわしは気にしなくてよし
  • ・ただ単に高い周波数帯の音を聞くだけでは英語のリスニング力アップにはつながらなさそう
  • ・子音中心の言語を数値で表そうとした結果周波数が高くなってしまっただけなので、周波数の事は忘れて日本語に無い英語の音を聞き取れるよう努力しましょう!!
解決策
  • 1.日本語には無い英語の音(母音・子音)を実際の音で確認し、それを何度も何度も聞いて違いを確認し、実際に自分の口で何度も何度も発音して脳に覚えさせる
  • 2.その際には、イギリス英語ならイギリス人の発音、アメリカ英語ならアメリカ人、カナダ人の発音で聞いてモノマネレベルで完全コピーできるようになるまで何度でも音読を繰り返す
  • 3.その言葉自体を知る(ボキャブラリーを増やす)
  • 4.リスニング力はスピーキングで上がるので、とにかくシャドーイング、オーバーラッピング、リピーティングなど何でもいいので音読を反復練習
  • 5.脳が英語の音を認識したら今度は多聴と精聴をしまくる。とにかく英語を聞く。

おまけ・・・脳科学はまだまだ仮説が多い

脳科学の本を読んでいると気がつくのですが、「~説が有力である」のような言い方が非常に多いんですね。

これは、脳の研究はまだまだ分からないことが多くてハッキリした答えが出ていないことが多いからです。

脳科学と語学の関係に関しても同じで、まだハッキリとしたことが分かっていない部分が多いわけですよ。

なので、時が立ては言語のリスニングと周波数の関係がもう少し分かって来るかもしれませんね。

にしてもロシア人が多言語を使いこなすのがうまいと言うのは、周波数と無関係とは思えん。

根拠はないけど。

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リスボン

イングリッシュプラス編集部リスボン。留学経験なし。英会話教室に通った経験なし。英語を学び十数年。英語ネイティブの先生に英文法やニュアンスの質問ばかりして嫌がられています。