リスニングができない原因は複数ありますし、人によって何が足りていないかは多少変わってくるのですが、英語が早口すぎて何を言っているのか全く聞き取れずにパニックになってしまう方は、高確率で「音節(シラブル)」を日本語に照らし合わせて聞いてしまっているからです。
これは、私が10数年英語の勉強をしてきて実感していることなのでほぼ間違いないです。
日本語はひらがな1文字ずつ区切って発音しますよね。
さ・し・す・せ・そ
日本語では、この「かな」1文字ずつ区切った音のかたまりが音節(シラブル)になり、1音節、1シラブル、1拍などで表されます。
つまり、「机(つくえ)」は3シラブル(3拍)なので、かな1文字が1拍の音のかたまりになり「つ・く・え」という感じの3つの音で区切られます。
同様に「りんご」も日本語ですと3シラブル(3拍)です。
ここまで書くとなんとなく分かると思うのですが、母音が1つ入る音につき1音節(シラブル)の区切りができるので、日本語では五十音全てが1音節(シラブル)で区切られます。
ちなみに「“ん”は母音が入らないから1音節にならないの?」、という質問が聞こえてきそうですが、自分で発音してみてください。
1音節で区切って発音していると思います。
音節(シラブル)の区切り方は後述しますが、このへんは日本語特有のものなのなんだと思います。
音を飛ばして発音する小さな「ツ」“ッ”や発音を伸ばす“ー”なども英語にはないものですので、中には比較対象にならないものもあると思ってください。
対して英語はというと、全然違うんですよね。
例えば、机という単語である“Desk”は1音節(シラブル)です。
アルファベットが4文字もあるのに、ネイティブは1音節(シラブル)で発音するんですよ。
これを日本人が発音すると3音節(シラブル)で発音しようとします。
ネイティブは「デスク」と1音で発音するのに、日本語は「デ・ス・ク」のように3つの音に区切って発音しているわけですから、感覚的な速さで言うと、そこには3倍の速度さが生まれます。
もう1つ、りんごで比べてみますと、“Apple”は2音節(シラブル)です。
ちなみに単語の最後に来る母音は音を出さないことが多いので、“Apple”の“le”につく“e”は母音ですが、基本は1音節(シラブル)にカウントしません。
ですが、“l”は子音なのに母音のような役割をはたすことがあり、“Apple”の場合は2音節(シラブル)になります。
ちょっとややこしいですが、例外的なやつです。
これも日本人は“ア・ッ・プ・ル”と発音しますので、4音節だと思ってしまうわけです。
感覚では倍速に聞こえているはずですので、そりゃあ聞き取りにくいですよね。
日本語の“ッ”に関しては、色々な意見がありますが、私の感覚では「間」を音節として区切って発音していると感じていますので、4音節としました。
目次
日本人と英語ネイティブでは文字数の感覚がずれている
ちょっと考えてみて欲しいのですが、この文章は何文字ありますでしょうか?
おそらく1つずつの音節(かな)で数える方法と、アルファベットを1文字ずつ数える方法と2種類の考え方があると思います。
「ゴーストレートアンティルユーゲットトゥーポストオフィス」だと27文字、アルファベットを1文字ずつ数えると33文字です。
ですが、これを英語ネイティブに聞くと感覚的には8文字です。
日本人の感覚だと、「8単語でしょ」と思ってしまうのですが、ネイティブの感覚を聞いてみるとこれが8文字です。
では、これがシラブルと何の関係があるんだという話なのですが、1音節(シラブル)=文字数と認識してしまう傾向にあるので、これを文字数に当てはめて考えてみると、ネイティブは“Desk”を1文字で発音するのに、日本人は“デスク”が3文字だと感じていると言いたいわけです。
いやいや仮にそうだとしても「App・leは2音節だから2文字でしょ」という突っ込みもあると思いますが、仮に音節を文字数として比べてみてもかなりの差がでます。
音節=文字数だという感覚で比較してみても、この英文をネイティブは10文字と感じるわけですよ。
中には3音節、4音節と音節の数が多い単語もたくさんあるのですが、日常会話で出てくる単語のほとんどは、1音節、2音節、3音節など音の区切りが短い英単語ばかりです。
なので、英語ネイティブは音節の数にかかわらず、1単語を1文字と感じているんだと思います。
単語が句になり、節になり、文になって単語の数が増えれば増えるほど、音節の差が積み重なってどんどん早口に感じてしまうのはなんとなく想像できますよね。
【さらに問題発覚】日本語は2ビート、英語は3ビートの違いが日本人のリズムを狂わせている
これは上川一秋さんの本「機関銃英語が聴きとれる」という本で知ったのですが、日本語は2ビートなのに対し、英語は3ビートらしいんですよね。
これだけ聞いても分かりにくいと思うのですが、1音節(シラブル)の中にいくつ音があるかがビートです。
つまり、日本語は1音節(シラブル)の中で2つの音がある2ビート、英語は1音節(シラブル)の中で3つの音がある3ビートということになります。
これを理解するのに2ビートはマーチ、3ビートはワルツをイメージするといいそうですが、文字で説明すると1音節がいくつの音で構成されているかを考えると分かりやすいです。
例えば日本語で「テニス」だと1音節が2つの音「子音+母音」で構成されています。
ですが英語の場合は3つの音「子音+母音+子音」で構成されています。
Ten・nis
これが2ビートと3ビートの違いで、ここも日本人と英語ネイティブでズレている感覚の1つです。
私はこのずれをあまり感じていなかったというか、あまり違和感がなかったのですが、言われてみれば確かにそうだなあと思ったので、情報として提供しておきます。
たぶん英語っぽい独特の、あのリズムのことだと思うんだよなー。
ちなみに子音や母音がつながるときには1つの音とするので、Deskの場合は“sk”が「子音+子音」になり、その部分を1つの子音として数えます。
大雑把なシラブル(音節)の見極めかた
では最後にシラブル(音節)の見極め方ですが、厳密には色々なルールや例外などがあり、ここで説明してしまうと読むのが嫌になるレベルです。
私も完ぺきではないですし、英語教材には実際の発音が入っているわけですから、そこまで厳密に覚える必要はないかなあと思うので簡易的な見極め方を覚えておき、音声で確認する感じでいいと思います。
まずはこれだけ覚えましょう。
1音節の基本=子音+母音+子音
1音節は「子音+母音+子音」でできている音のかたまりだと思ってしまって差し支えありません。
シラブルの中心には大抵母音があります。
ですので、英語学習者が音節を見極めるために必要な知識は、まずは1音節=「子音+母音+子音」で構成されているということを知っていれば大抵は問題ありません。
ただし、子音、母音がが何個かつながる場合は1つとし、最後の母音は読まないサイレントeなどの知識は少しだけ補足しておきます。
- シラブルの基本は「子音+母音+子音」
- 最後に母音が来る場合は発音しないことがある
- LやYなど子音が母音の役目をする例外がある
- 子音、母音ともに連続する場合は1つの音とみなす
- 単語の最初と最後が母音の時WやYなどの音が発生することがある
下記に簡単ですが例を書いておきますので参考にしてください。
まずは大前提として母音を確認しておきます。
a, i, u, e, o (y,l)
あいうえおは問題ないと思うのですが、yとlの扱いについては、この2つのアルファベットが出てきたら母音の役割を果たすかもしれないと疑ってみてください。
1シラブルの基本は「子音+母音+子音」
ten・nis [2シラブル]
最後に母音が来る場合は発音しないことがある例
YやLが母音の役割を果たしている例
子音が複数の場合
Desk
子音(D)+母音(e)+子音+子音(sk)
↓
子音(D)+母音(e)+子音(sk)
“spring”のように「子音+子音+子音+母音+子音+子音」の場合も「子音+母音+子音」とします。
Spr・i・ng
子音+子音+子音(spr)・母音(i)・子音+子音(ng)
↓
子音(spr)・母音(i)・子音(ng)
母音が複数の場合
“ei” “ou” “au”など母音がつながっているものを二重母音と言いますが、この二重母音も1音節として数えます。
gr・ea・t
子音(gr)+母音+母音(ea)+子音(t)
↓
子音(gr)+母音(ea)+子音(t)
母音が複数、子音も複数並ぶパターンも同じです。
母音が複数、子音も複数並ぶ場合
bought
子音(b)+母音+母音(ou)+子音+子音+子音(ght)
↓
子音(b)+母音(ou)+子音(ght)
単語の最初と最後が母音の場合Wの音が発生する例
単語の最初と最後が母音の場合Yの音が発生する例
シラブル(音節)を意識出来たらあとは実際の音声で確認しながら「聞いて口に出す」だけ
日本語と英語ではシラブル(音節)が全然違うことが分かったので、ここからは英語少し違った音で聞こえ始めるかもしれません。
おそらく早口に聞こえていた英語がかなりマシになると思うんですよね。
発音も同じです。
シラブルを意識し、リズムも英語に合わせるだけで、口がすらすら回るようになり、より英語の発音に近づくはずです。
ですが、これはシラブルやビートというものを知って、意識しただけです。
知っているだけでは大きな進歩は得られませんので、この知識を元に実際の音声でリピーティングやシャドーイングなどの音読を徹底的に行ってみてください。
音読は必ず、ネイティブの音声を聞き取って、聞こえたままモノマネをしながらスピーキングします。