「Hope(望む)」と「Wish(願う)」は、どちらも願望を表現するときによく使われる単語です。

日常会話において、「~だったらいいのにな」と言いたいとき結構ありますよね。

そういうときにパッと“hope”や“wish”を使い分けられていますか?

今回は、似たような意味を持つ「Hope」と「Wish」の使い分けをしっかりと整理しましょう。

Hope:望む(実現の可能性がある)現在と未来の話ができる
Wish:願う(実現不可能・可能性が低い)現在、未来、過去の話ができる

“Hope(望む)”実現の可能性がある願望

“hope”のコアイメージは、「望む」「希望する」で、「~だったらいいのにな」という訳になります。

より細かく意味を見てみると、「~だったら」という部分が、比較的叶いやすい、現実的である場合に使います。

必ずしもその通りになるとは限りませんが、「実現する可能性が高い願望」ということになります。

会話の中で使い方を見てみましょう。

KenKen

I hope you come to the party on weekend.
「週末のパーティー来られたらいいね。」


MikeMike

Yes. I ask my mum to pick me up one more time.
「うん、もう一度お母さんに送ってもらえるか頼んでみるね。」

上の例文では、Mikeは特にパーティーに行くことを禁止されているわけではなさそうです。

都合がつけば行けるようなので、比較的可能性は高そうですね。

なので“hope”を使います。

また、“hope”の後ろには現在形の動詞や未来形が続きます。

どちらにしても「~だったらいいな」という未来のことを話すことが前提なので、必然的に現在形もしくは未来形になるというわけです。

現在形

I hope it’s shunny on Sunday.

未来形

I hope it will be shunny on Sunday.

どちらも「日曜日晴れたらいいな。」となり、文法的に間違いはありません。

“wish(願う)”実現不可能・可能性が低い願望

“wish”のコアイメージは「願う」「祈る」「切望する」です。

ですので“wish”は“hope”と比べると、実現する可能性が低い願望を表すときに用います。

全く実現が不可能なことへの「期待」なども表現できます。

なので訳としては「~だったらよかったな」、「よかったのに」と過去の出来事を語るようなニュアンスが多くあります。

もちろん未来のことについても表現できるのですが、文法的に少し複雑なので、詳しく見ていきましょう。

ポイントは動詞の時制がずれるところです。

未来のことを表現する場合

まずは、“wish”を使って未来の話をするときを見てみましょう。

ここでのポイントは未来のことを話しているのに未来形を使わないという点です。

未来

I wish + could(would)+ 動詞の原形

この場合“wish”の後ろは、“could/would+動詞の原形”になります。

SteveSteve

It’s raining now.
「雨が降ってしまったね。」


TomTom

I wish it could stop raining afternoon.
「午後には晴れたらいいのにな。」

現在のことを表現する場合

次に現在のことについて話している場合を見てみます。

ここでのポイントは、現在のことなのに“wish”のあと現在形ではなく、過去形を使うという点です。

現在

I wish + 過去形(過去進行形)

KenKen

I wish I spoke English better.
「もっと英語が上手に話せればいいのに。」


MikeMike

Oh, your English is good enough!
「もう十分上手だよ!」

過去のことを表現する場合

最後に過去のことについて話している場合です。

ここでのポイントも時制がずれるという点で、“wish”のあと、過去形ではなく“had+過去分詞”もしくは“could have+過去分詞”で作る過去完了を使います。

過去

I wish +過去完了形(had+過去分詞)
I wish +could have+過去分詞
I wish I had studied harder.
「もっと一生懸命勉強していればよかった。」

TomTom

I wish I could have been there with you.「
あなたと一緒にいれたらよかったのに。」


SteveSteve

Thank you so much. You are already helpful.
「ありがとう。十分助けになっているよ。」

現在のことを過去形で表現し、過去のことはそれよりも前の時制である過去完了形で表現したりと一見意味が分からないですよね。

しかし、これは”現実では起こりえないこと”を表現するために、現実の時制とあえてずらしていると考えるといいでしょう。

「実際に起こっていることと違うことを言っていますよ」ということを改めてアピールするという感じでしょうか。

そのように考えれば納得がいくはずです。

I were?

また文法上は、“wish”のあとにくるbe動詞は“were”と決まっているのですが、最近では会話の中においては、“was”が使われることも一般的になっています。

I wish I were rich.
「私がお金持ちならいいのに。」
I wish I was rich.
「私がお金持ちならいいのに。」

“I was”ではなく“I were”というイレギュラーな文法こそ、仮定法のサインだったわけですが、最近ではネイティブはむしろ“was”を好んで使うなんて混乱しそうですね。

誕生日なのにwish?

そのほかに、例外として下のような言い方も存在します。

I wish you a happy birthday.
「誕生日おめでとう。」

“wish”は実現が不可能に近いことへの願望と先ほど見ていたので、疑問に思うかもしれませんが、切に願うというよりは「お祈り」の意味合いが強いので、“hope”ではなく“wish”を使って表現しています。

これはフレーズで覚えてしまうといいでしょう。

シチュエーションに応じて使い分ける

願望が実現する可能性が高いか、低いかはその時々のシチュエーションに応じて変わってきます。

海で遊ぶ約束の日、同じ雨で中止になり残念がることになっても、台風による雨なのか、通り雨のような雨なのかでは、その後すぐに晴れるかどうかは違ってきますよね。

それによって、“hope”を使うか、“wish”を使うかが変わってきます。

なので、このシチュエーションでこの動詞だから“hope”でないといけないなどという決まりはありません。

I hope it’s sunny today.
「今日晴れるといいね」
I wish it were sunny today.
「今日晴れたらよかったのに」

どちらも文法的には正しいですが、シチュエーションにおいて意味が合っているかどうかは変わってきます。

その場に応じた言い回しがスムーズにできるように、二つの使い分けを覚えておくといいでしょう。