今回は日常生活に欠かせない「着る」という言葉に焦点を絞ってご紹介していきます。

「着る」という言葉を英語で表現すると”put on”と”wear”を思いつく方が多いと思いますが、似たような言葉で“have on”や“dress”という単語もあります。

“dress”は受動態の例文でよく出てくるので“be dressed in”を思い浮かべる方も多いでしょう。

これらはどれも同じような言葉ですが、微妙にニュアンスが違うのでしっかりと確認していってください。

Put on:身に着ける動作を表す
Wear:身に着ている状態を表す(be dressed inも全く同じ)
Have on:一時的に身に着けている状態を表す
Dress:相手にを着せる動作を表す

そこでまずよく使われる”put on”と”wear”から見ていきましょう。

“put on”は「着る(動作)」”wear”は「着ている(状態)」

動作動詞と状態動詞をいう言葉を聞いたことがありますか?

英文法をしっかり勉強されているかたならおなじみの言葉だと思いますが、”put on”と”wear”はまさにその関係にあり、”put on”は今まさに来ている最中だという動作動詞で、”wear”は着ている状態をあらわす状態動詞です。

イメージとしては”put on”で着たあと、”wear”で着ている状態をあらわすといった感じです。

“put on~”は身に着ける動作を表す

“put on~”のコアイメージは「~を身につける」という意味で、帽子を被るのも、靴を履くのにも使います。

Put on

「~を着る、~をはく、~をかぶる、~をかける」

“put on”は何かを身につけるという動作そのものを説明する時に使います。

例文を用いて詳しくみていきましょう。

「着ている最中」という動作動詞なので、最も相性のいい表現が現在進行形の形です。

I’m putting on my sweater.
「私はセーターを着ています。」

次に現在形での文章ですが、いつもの習慣を表す時に使うと良いと思います。

I put on my sweater for work.
「私は仕事のためにセーターを着ます。」
過去形に注意
I put on my sweater yesterday.
「私は昨日セーターを着ました。」

これは一見同じような文章に見えますが、過去を表す過去形です。

“put”の変化は現在形(put)、過去形(put)、過去分詞(put)となりすべて同じ形を取る動詞なので、“put on~”は現在形も過去形も同じように“put on ~”になります。

ですので“yesterday”など過去を表す言葉が文の後ろについていないかを確認して、現在形なのか過去形なのかを見極めましょう。

また、“put on~”は着る動作そのものを表しているので、“Put on you jacket!”「ジャケットを着なさい!」というように命令文として文を作ることもできます。

ちなみに“put on~”の反対は“take off~”「~を脱ぐ」を使うので併せて覚えておくと良いでしょう。

“Wear”は身に着けている状態を表す

次に”Wear”です。

“Wear~”のコアイメージは「~を身につけている」という意味で何かを身につけている状態を表しています。

Wear

「~を着ている、~をはいている、~をかぶっている、~をかけている」
I wear my sweater at home.
「私は家でセーターを着ています。」

これは現在形の文章ですが、自分がセーターを身につけている状態で家にいるということを表現しています。

I wore my sweater at school.
「私は学校でセーターを着ていました。」

これは過去形の文章です。

学校にいる時にセーターを身につけた状態でいたことを表現しています。

“wear”は現在形(wear)、過去形(wore)、過去分詞(worn)で動詞が変化するので現在形の文なのか過去形の文なのかは判断しやすいと思います。

命令文には使えない

“wear”は着ている状態を表している単語なので、“Wear you jacket!”「ジャケットを着なさい!」といったような命令文を作ることができません。

また、身につけている状態を表しているため、服だけでなく髭や表情を表す時にも“wear”を使うことができます。

I wear a moustache.
「私は口髭を生やしています。」
She wears a smile.
「彼女は微笑みを浮かべています。」

のように使うことができます。

この2つの表現”put on”「着る(動作)」”wear”「着ている(状態)」のニュアンスを知り適切に使えれば、何かを身に着ける動作と状態は全て表現することが可能です。
服を着る、靴を履く、帽子をかぶる、香水をつける、ペンダントを付ける、リボンをつける、手袋をはめるなど、身に着けるという動作と状態は全て”put on””wear”で表現できる。

“have on~”も”wear”と同じ状態を表す

「着る」を表現するフレーズで“have on~”「~を身につけている」というフレーズもよく使われ“have on~”は“wear~”と同じように身につけている状態を表す時に使います。

ただし、”have on~”は一時的に着ている状態を表しています。

I have my sweater on at home.
「私は家でセーターを着ています。」

これはセーターを家で着ている状態を表しているのに間違いありませんが、家にいる間ずっと着ているわけではなく一時的に着ていることを示しています。

またこの文章は現在形なので、過去形にする場合は“have”を“had”に変えて文章を作ってください。

“dress”身に着けるではなく「誰かに服を着せる」

もう一つよく耳にするのが“dress”です。

“Dress up”は「おしゃれをする」「正装をする」という意味でよく使われる句動詞なので、「着飾る」「おしゃれ」という意味でとらえている人が多いかもしれませんね。

ですが、“dress”は単体で使う場合は自分が着るのではなく、誰かに着せている時に使います。

I dressed my daughter for school.
「学校に行くために娘に服を着せました。」

これは人ではなく人形に服を着させる場合も“dress”です。

dress oneself in~

では“dress”を自分に使う場合はどうなるかというと、“dress oneself in~”を使って自分自身に着せるというニュアンスで使うことができます。

I dressed myself in a coat.
「私はコートを着せました。」

ただ、ちょっと不自然な感じになるのでわざわざこの表現を使う必要はないでしょう。

“be dressed in~”は”wear”と同じ状態を表す

“Dress”を使った表現でもう1つ“be dressed in~”という受動態の表現がありますが、”wear”と全く同じ状態を表すことができます。

She is dressed in a coat.
「彼女はコートを着ていた。(状態)」

ですので、“I am dress in a coat.”と“I wear a coat.”は同じように身につけいる状態を示すということになります。

「着る」という動作一つだけでも色々な英語表現方法がありますが、“put on~”と“wear~”はその中でも最も使われている代表的な表現フレーズと言えますので、二つのニュアンスの違いをしっかり理解して使ってみてください。