英語を勉強していると、名詞の前に前置詞が付いたりつかなかったり「いったい違いは何なんだ?」と混乱する瞬間があると思うのですが、その違いはズバリ自動詞と他動詞の違いです。

この自動詞と他動詞の違いを知らないということこそが、多くの日本人を混乱させている大きな原因の1つであり、違いを理解することこそが混乱を防ぐために必要な知識でもあります。

※be動詞も動詞ですが、今回は一般動詞の話なので除外して考えて下さい。

自動詞:目的語は必要ない。直後に名詞を続ける場合前置詞が必要。
他動詞:目的語が必要。直後に名詞を続ける場合前置詞は必要ない。

英語では動詞の種類によって英文の形が決まるので、使う動詞がどんな種類かということをしっかりと見極めて意識しておくことで、英文法が非常に理解しやすくなり、混乱しなくなります。

こういう混乱を放置した積み重ねの結果、最終的に「英語は難しい」「オレ(私)には無理」とあきらめムードにになってしまう事が多いので、気になる方はしっかりと理解しておきましょう。

動詞の種類によって動詞の後ろの形が変わる

先ほど自動詞と他動詞の違いの1つで、自動詞は「前置詞なしで名詞を続けられない」、他動詞は「前置詞なしで名詞を続けられる」と書いたのですが、前置詞は日本人の感覚だと名詞とセットのような感覚の人もいるかと思います。

on the table
at a camera

ですが、実際のところ前置詞が必要なのか、必要でないのかは動詞が決めています。

英語に置いて動詞は英文の形を決めることができるぐらい権限がある品詞だと認識しておきましょう。

つまり動詞によって、動詞の後ろの形が決められるわけです。

ですので、セットで覚えるとしたら「自動詞+前置詞」が正解です。

live in Tokyo
listen to music
arrive at hotel

これが分かると英文法がかなり理解しやすくなります。

「動詞の種類を極めれば英語が話せる」と言って売り出している英語教材もあるぐらいですので。

それだけじゃ全然話せませんので英語教材としては不十分ですが、目の付け所はいいですよね。

英文の骨格は
「主語+動詞」が基本

英語は重要な要素から順番に並べていく言語なのですが、1番が主語(S)で、2番が動詞(V)です。

I walk.
「私は歩きます。」

I
主語(S)
walk
動詞(V)

誰が、何が
主語(S)
どうした(結論)
動詞(V)

命令形などの例外を除けば、ほどんどの英文がこの形で始まります。

日本語の場合「歩きます」のように、主語を略しがちな言語なのですが、英語で一番重要だとされているのが主語なので、必ず主語を言う癖をつけましょう。

目的語が必要な理由と、必要ない理由

文法の参考書や教科書に書かれているもう1つの違いが「自動詞は目的語がいらない動詞で、他動詞は目的語がいる動詞」というのがありますよね。

これは日本語でいうところの助詞「を」「に」が動詞自体に含まれているか、そうでないかが分かれば簡単に理解できます。

自動詞:目的語(o)は必要ない。「を」「に」が含まれていない。
他動詞:目的語(o)が必要。「を」「に」が含まれている。

目的語(o)は日本語でいうところの「~を」「~に」の「~」の部分です。

例えば「ホテルに」であれば、ホテルという名詞が目的語です。

自動詞には「を」「に」が含まれていないので目的語が無くても文が成り立つ

自動詞“arrive”の場合

I arrived at a hotel.
「ホテルにつきました。」

自動詞には日本語で言うところの「を」「に」というニュアンスが含まれていません。

と言われてもピンとこないと思うので、英文を単語単位でみてみましょう。

I
私は
arrived
着いた
at
a hotel.
ホテル

こんな感じで区切って考えると分かりやすいのですが、自動詞には「を」「に」というニュアンスが含まれていなので、目的語がなくても文として成り立ちます。

I
私は
arrived
着いた

「私は着いた」なので、文として成り立ちますよね。

これを、「自動詞は自分だけで完結できる(自分だけで文が成り立つ)」なんて言い方をしている参考書もあります。

自動詞は行動が、誰にも何にも影響を及ぼさず自己完結できる

他動詞には「を」「に」というニュアンスが含まれているので目的語がないと文が成り立たない

他動詞“have”の場合

I have a pen.
「ペンを持っています。」

対して他動詞には「を」「に」というニュアンスが含まれているため、目的語がないと不完全な英文になってしまいます。

I
私は
have
を持っている
a pen.
ペン

これも区切って考えれば分かりやすいですね。

I
私は
have
を持っている

「私はを持っている」では、何を持っているかが分からないので、文が成立しません。

この「何を」の部分が目的語(o)になります。

I
S
have
V
a pen
O

ですので、他動詞には目的語が必要ということになります。

「他動詞は自分だけで完結できない(自分だけでは文が成り立たない)」わけですね。

他動詞は行動が、他の対象物(人)に影響を及ぼす

他動詞が多数派で自動詞が少数派(両方で使える動詞もある)

じゃあ、「自動詞と他動詞をうまく見極めることが重要なわけね」という結論に至るわけですが、数で言うと自動詞と他動詞では圧倒的に他動詞が多いので、自動詞は少数派として覚えれば覚えやすいと思います。

ですので、英語で最も多い形は文型で言うところのSVOで、目的語(o)に入る品詞は名詞が多いです。

つまり下の形が英文で最も多い形。

主語
S
動詞
V
目的語(名詞)
O

実際には自動詞としても、他動詞としても使えるという万能な動詞があったりして、この辺が英語の面倒なところなのですが、自動詞は数が少ないので前置詞とセットで1つ1つ覚えちゃえばOKです。

自動詞と他動詞の両方で使える動詞は、他動詞として使うこともできるけど普通は自動詞として使われますが、両刀使いの動詞はどちらで使っても問題ありません。

ただし、自動詞としてしか使えない動詞、他動詞としてしか使えない動詞はルール通りに前置詞を付けたり付けなかったりという感じで使い分けないとネイティブは違和感を感じますので、気を付けましょう。

他動詞と自動詞を比べると、圧倒的に他動詞が多いので、自動詞は少数派。
自動詞を前置詞とセットで1つずつ覚えて、残りは他動詞として前置詞なしで使っとけばOK。

自動詞、他動詞、両刀の例

自動詞のみ

arrive(到着する)、listen(聞く)、belong(所属する)、depend(決まる)、fall(落ちる)

他動詞のみ

resemble(~に似ている)、oppose(~に反対する)、mention(~に言及する)、discuss(~を話し合う)、reject(~を拒絶する)など

両方

go(行く)、come(来る)、live(住む)、look(見る)、wait(待つ)など

自動詞

目的語が必要ない

I arrived at a hotel.
「ホテルにつきました。」

I
私は
arrived
着いた
at
a hotel.
ホテル

・自分だけでは文が成り立つ
・前置詞なしで名詞を続けられない
・「を」「に」というニュアンスが含まれない
・行動が、誰にも何にも影響を及ぼさず自己完結できる

他動詞

目的語が必要

I have a pen.
「ペンを持っています。」

I
私は
have
を持っている
a pen.
ペン

・自分だけでは文が成り立たない
・前置詞なしで名詞を続けられる
・「を」「に」というニュアンスが含まれる
・行動が、他の対象物(人)に影響を及ぼす

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リスボン
イングリッシュプラス編集部リスボン。留学経験なし。英会話教室に通った経験なし。英語を学び十数年。英語ネイティブの先生に英文法やニュアンスの質問ばかりして嫌がられています。